研究分担者 |
林 昭子 国立武蔵療養所神経センター, 疾病研究第二部, 研究員
佐藤 充 国立武蔵療養所神経センター, 疾病研究第二部, 研究員
吉田 豊 国立武蔵療養所神経センター, 疾病研究第二部, 研究員
田中 晴美 国立武蔵療養所神経センター, 疾病研究第二部, 室長 (00032334)
HAYASHI Akiko ibid
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研究概要 |
DNA不安定性の示標として、培養線維芽細胞を用い、種々の線量のX線および紫外線を照射した後の細胞生存率をコロニー形成試験により検討した。対象は、毛細血管拡張性失調症,コツケイン症候群,色素性乾皮症,結節性硬化症および神経線維腫症の正常部および腫瘍部由来の細胞、ウイルソン病,メンケス病,真性小頭症,眼脳肝腎症候群,原因不明の小人症等である。対照として、各年令の正常児者および非遺伝性疾患の剖検例から得られた培養細胞を用いた。一部の細胞についてはさらにX線照射後のDNA単鎖切断の再結合能、照射後のDNA,RNAの複製,再合成の回復などを検討した。(成績)X線感受性において毛細管拡張性失調症がもっとも高感受性を示した。しかし、典型的臨床像を示しながらコロニー形成能が正常の境界の感受性を示す例が見出された。この例は亜型と考えられた。結節性硬化症および神経線維腫症の細胞は大多数が正常の感受性を示したが、腫瘍部由来細胞に高感受性を示すものがあった。腫瘍形成と関係する変異と考えられ、疾患の一つの性質と考えられる。なお、X線照射後のDNA単鎖切断の再結合が結節性硬化症において特に急速層で促進していた。 紫外線感受性においては、色素性乾皮症がもっとも過敏で、ついで、コツケイン症候群であった。臨床的に典型的とみられながら正常の細胞生存率を示す例があったが、照射後のDNA,RNA合成の回復は著しく遅れていたのでこれも亜型と考えられた。結節性硬化症,その他の細胞では高感受性はみられなかった。 原因の確定しがたい神経疾患に対して、DNA不安定性に関係する各種の検査を併行することは、診断精度の向上と亜型の分類に有用と結論された。
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