研究概要 |
正常心および不全心に対する左心バイパスを行い、左室心筋局所血流量および左心機能を測定し、左心補助、体循環補助効果を検討した。平均体重44.5Kgの山羊12頭を用い、正常心に対する左心バイパスの後、NaOH注入法による左心不全モデルを作製し、左心バイパスを行った。左心バイパスは、左房脱血、胸部下行大動脈送血とし、pusher-plate pumpを用い,variable rate modeで駆動した。ポンプは、容量60ml、空気駆動型である。左室心筋局所血流量(RMBF)は、電解式水素ガスクリアランス法により測定した、急性左心不全モデルを作製するにあたり、NaOHを左室心筋に0.079±0.014ml/Kg注入し、左室自由壁心筋重量に対する心筋壊死の比は、22.7±7.74%であった。心拍出量、動脈圧、LVmaxdp/dt,TTIは有意に減少した。 正常心に対する左心バイパスの効果としては、心拍出量、LVmaxdp/dt,RMBFが有意に減少した。不全心に対する左心バイパスでは、RMBFが有意に減少し、心拍出量、動脈圧が有意に増加し、A-VDO2は有意に減少した。よって、左心バイパスにより体循環補助効果がみられた。しかし、LVmaxdp/dt,TTIは減少せず、左心補助効果はみられなかった。
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