研究課題/領域番号 |
59480304
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西本 詮 岡山大, 医学部, 教授 (50032850)
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研究分担者 |
松海 信彦 岡山大学, 医学部附属病院, 医員
田宮 隆 岡山大学, 医学部附属病院, 医員
守山 英二 岡山大学, 医学部附属病院, 医員
松本 健五 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (10190521)
古田 知久 岡山大学, 医学部, 助手 (30181457)
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キーワード | 温熱療法 / 悪性脳腫瘍 / 血流動態 / マイクロウェーブアンテナ |
研究概要 |
1.目的:温熱療法を悪性脳腫瘍に対して応用するためには、正常脳組織と脳腫瘍組織の加温による生理的変化の差異を知る必要がある。このため、区別低体温療法の前段階の実験として、正常体温下に正常脳と実験脳腫瘍の加温による血流動態の変化を検討した。 2.材料・方法:成熟日本ザル10頭,担脳腫瘍サル3頭(Rous Sarcoma Virus誘発脳腫瘍)を用いた。全身麻酔,調節呼吸下に開頭術を行い直径1.5mmのマイクロウェーブアンテナを脳表から2cm刺入した。2450MHzマイクロウェーブ照射により37℃〜47℃の範囲で最長3時間加温し、加温前後の正常脳,腫瘍の局所血流量を水素クリアランス法で測定し比較検討した。 3.結果:正常脳白質では加温前の血流値は平均23.2ml/100g/分であり、47℃までの組織温度の上昇では1℃について約10%の割合で血流は増加した。42℃では平均35.3ml/100g/分となり、この血流量は加温中(最長3時間)持続した。しかし、45℃では加温開始後3分で45.9ml/100g/分に増加し、40分後の61.2ml/100g/分をピークとして、以後徐々に血流量は低下し約3時間後には加温前値を下回った。腫瘍組織では、加温前の血流量は平均11.5ml/100g/分と正常組織よりも低値を示し、42℃の加温では平均15.9mlで、37℃〜42℃の範囲での血流増加の程度も1℃あたり約6%と正常脳組織に比し低かった。また、42℃の加温の持続で血流値の低下を認め、この現象は正常脳よりも低い温度で起こる事が判明した。 4.結論:RSV誘発実験脳腫瘍の血流増加の程度は、正常脳組織に比較して少なく、しかもより短時間で低下し、血管床が加温に対してより脆弱である可能性が示唆された。
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