研究概要 |
本年度は最終年度に当たるため59年度,60年度の総括として次の研究計画を年度始めに計画した。1)60年度に於て製作した歯牙切削シミュレータロボットの2号試作機の改良を試みる。2)2号試作機を使用し、臨床医・歯科学生などによって切削試験を行ってもらい、そのデータを基に切削実習生に適切なコメント及び警告を与えるためのシステム作りを重点的に行う。3)2)のシステムについて実習に於ける教育的効果という観点から本研究の総合的評価を行いまとめる。以上の計画に沿って研究を進め以下の成果が得られた。1)現患者ロボットで簡単に改良出来る点はほゞ改良し終わり、まだまだ改良の余地はあるものゝ歯科医らから一応の評価を得た。2)1)の患者ロボットを用い10名近い歯科医・歯科学生らから貴重な歯牙切削データを得ることができた。3)2)のデータ分析の結果、幾つかの歯牙切削に関する次の事実が明らかになった。a)歯科医らの切削波形が大変変動的であり、この変動に大きな意味があること。即ち、切削力の調整,工具回転数の維持,工具のかじりの防止,切削温度上昇の防止,患者に苦痛の軽減,切削量の調整等。b)経験者の波形変動はリズミカルであり、一方初心者では力みがありリズムに欠ける。c)水平力と垂直力の分析により、窩動形成での横切りでアッパ気味,ダウン気味と個人差があること。d)工具では良く切れる所があり、経験者はその部分を使うように工具操作を行うが、初心者ではそのような使い方よりは形状の切削だけに注意を集中していること。e)初心者でも切削力を押え、丁寧にすれば切削力に関してはは良い切削と判断されるが、時間が掛かり別の問題がでる。そのため、時間を考慮した切削指導が必要であること。等々 以上本患者ロボットシステムが総合的に見て歯科の切削実習に大変役立つことが確認することが出来た。これらが本研究の最終的研究成果である。
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