59年度から本年度を最終年度とする研究計画である。これまで固体超強酸触媒【SO(4^(2~))】/Tiii【O_2】および【SO(4^(2))】/Zr【O_2】の安定で高活性を発現できる調製方法を確立した。そのために担体Ti【O_2】、Zr【O_2】の調製条件を主として細孔構造の面から検討し、その担体に硫酸処理法により【SO(4^(2~))】を担持し、高活性状態にまで賦活する焼成条件を明らかにした。今年度は選択性を発揮できる使用法を検討した。そのため両触媒に対して、いくつかのアルコールとカルボン酸とのエステル化反応を気相常圧流通式反応器で活性ならびに選択性の検討を行った。昨年度までに得られている液相反応系での同じいくつかの反応種間の活性序列の結果と比較すると長所と短所が思い出された。短所としては反応温度が液相系より高いため、反応温度200℃前後に活性ピークをもち、その高温側で化学平衡による反応抑制がみられる。長所しては、この最大の活性を示す200℃の反応速度定数の値の比をとり、2種のアルコールがカルボン酸と競争反応している系を想定し、一方が他方のアルコールに対して何倍の活性を有しているかを試算してみると、液相反応系ではみられなかった高値(高選択率)がみられたことである。この結果、細孔特性を利用して反応種間の差を利して選択的に生成物に導くためには、液相中固体触媒懸濁系よりも気相系固体触媒接触系の方がはるかに有利であることがわかった。しかしエステル化反応の反応機構から考えて、第1級アルコール〉第2級〉第3級の反応活性序列は予想されたが、液相系の場合第1級でも【C_2】以上のもの第2級までは同程度の活性となり選択率の差は得られなかった。しかし気相系では第1級の中でもアルキル基の間に差が現れて選択的に分子量の大きいものの反応活性の低下がみられ、この意味で選択性が確認された。今後はさらに本触媒の改良とその触媒を有効利用する立場から、特徴ある触媒プロセスを確立することが望まれよう。
|