近世とくに16世紀ルネッサンス期のフランス文化を見ると、南北両フランスがほとんど対等の立場から、相互に影響し合っている。しかも近世フランスの形成にあたって。南仏が北仏に劣らず重要な役割を演じたことは周知のとおりである。筆者は今日まで、言語および文学を中心に、当時の政治・社会・文化を研究し、その成果を長年発表してきた。ところが、ルネッサンス期の南仏語および南仏文学を研究するには、唯単に、語学史や文学史的知識に依存せず、広く当時の文献の繙続することが必須である。 筆者は、ルネッサンス期の南仏文学および南仏語を正しく理解するために、当時代の文献を資料として、『ルネッサンス期プロヴァンス語-フランス語辞典』の作成を意図し、岡山大学総合情報処理センターの助教授 川端親雄を研究分担者として。文献に使用されているすべての語彙の収集・整理を、コンピューター処理したのち、裏面に見るような形式で公表した。 なお、本研究のコンピューター処理は、岡山大学総合情報処理センターの超大型汎用コンピューターACOSシステム1000でなされたが、小型のパソコン〔FM-11〕に同じ機能や、また追加機能を持たせる目標で、ソフトウェアを開発している。 今後は、本研究をさらに発展させ、フランスにも存在しない、『ルネッサンス期プロヴァンス語-フランス語辞典』の刊行を予定している。
|