研究概要 |
ラーベス相化合物は六方晶C14,C36型と立方晶C15型の3つのタイプの結晶構造を持ち、200個以上のものが見い出されている。そしてその〓性は変化に富んでおり、他の化合物に見られない〓性が観測されている。本研究はこの様な〓性と電子構造の関連をバンド理論に基き解明することを目的としている。得られた結果は次に示される。 (1)遷移金属間化合物のバンド計算を行い、状態密度,〓気モーメント等を求めた。常〓性状態のバンド構造から、フェルミレベルが状態密度曲線のどの位置を占めるかで化合物が常〓性,強〓性,反強〓性のどの状態をとるかを大雑把に理解できた。 (2)遷移金属間化合物A【B_2】の結晶構造は主としてB原子によって決まり、B原がCr,Co,Ni(Mo,Rh,Pd)の場合はC15型,Mn,Fe(Tc,Ru)の場合にはC14型が安定で、この規則からずれている場合には何らかの〓性が関与している。 (3)B原子のバンド幅はA原子によって微妙に変化する。A原子がY,Zr,Nbと変化するとA,B原子のdバンドの混成が強くなりB原子のdバンド幅はY→Nbに従って広くなる。そのために、〓気モーメントを持つために得するエネルギーがY→Nbで急激に減少し、Nb→Zr→Yの順でB原子の〓性を強めている。 (4)A原子を4d遷移金属から3d遷移金属に置き換えたときも同じ傾向が見られる。即ち、A原子が4d→3dに変わるとA原子とB原子の混成が始まり、B原子のバンド幅が広まる。そのために〓気モーメントを持つために得するエネルギーが大幅に減少し、Zr【Fe_2】は強〓性だがTi【Fe_2】は反強〓性になる。
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