研究概要 |
低温のルビー中のCrイオンについて基低状態【^4A_2】の±1/2の二準位系で初めて電子スピンのフリップフロップ時間(交差緩和時間)を測定する事が出来た。(Phys.Rev.B30,2983'84)この論文で光学的labelingの方法を用いて【T_(12)】を直接測定出来る事を示した。更にこの方法を発展させ時間分解能をより上げる事によって、【T_(12)】を実測した。(Phys.Rev.B34,1972'86)磁場が約500ガウス以上で10sec程度であった(0.05wt%)。この値はA.Szaboが、別の方法で求めた値より約一桁長い。理由は今なお分かっていない。もっと詳しい濃度変化の実験が必要であると思われる。 一方、理論的研究も行ない交差緩和の理論を発表した。(Phys.Rev.B29.6043'84)希薄スピン系での交差緩和のrateの濃度及び磁場変化を求めた。この論文の実験的検証は未だ行なわれていない。 又、二準位スピン系を記述するBloch方程式が必ずしも正しくない事を実験的にも理論的にも示す研究を行ない成果を発表した。(Optics.Commun.51.163'1984)ルビー【R_1】線の一部,【б_2】の均一幅の飽和吸収幅がBloch equationの予測と異なる事を示しその原因が2準位では計述出来なくて、周囲のA1イオンとの超微細相互作用を考慮した多準位系として扱わなければならない事を示した。同様の考察を吸収線形についても行ない、実験結果と良い一致をする事を示した。結果をまとめ投稿中である。 更に、この研究全体を通じて用いられたOptical Hole BurningSpectroscopyについて考察を行ない結果を発表した。Laser Engineering)又、【R_1】の一部、π成分の均一幅の線形の磁場変化を測定し、理論的計算と大体一致する事を示した。前述と同様の原因によると考えられ、結果を投稿中である。
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