研究概要 |
オオバコPlantago asiatica L.について、低温・短日条件下で休眠状態に移行するタイプ-【I】と、休眠せずに生育を続けるタイプ-【II】の種内分化の程度およびそれぞれのタイプの生化学的指標を明らかにするため、各地で採取した種子からの実生個体を用いて、アイソザイムのザイモグラム、休眠状態移行過程における個体の地上部と地下部での物質分配を調査した。また、各タイプのオオバコの生理的属性を研究する目的で、培養細胞系の確立を試みた。調べた9種類の酵素活性のうち、ザイモグラム上解析が可能だったのは、スーパーオキシドデイスムターゼ(SOD),リンゴ酸脱水素酵素(MDH),マリツクエンザイム(ME)の3種であった。SODは日本各地の50地点のオオバコで同じザイモグラムを示した。MDH,MEは、種内分化とは関係なく各地のオオバコで多様なザイモグラムを示した。 タイプ-【I】のオオバコでは、休眠状態移行過程において、地上部から地下部へ可溶性タンパク質が移動、蓄積すると同時に地下部で含水量、DNA含量が著しく減少して、生理的休眠が進行していることが明らかとなった。また各タイプオオバコでの物質分配を解析した結果、各タイプのオオバコは栄養生長の過程において、すでに越冬様式の差異に応じた分配が進行していることが示唆された。 幼植物の下胚軸を植物ホルモン処理して、カルスへの脱分化、カルスから植物体への再分化を起こさせることができた。また、幼植物葉片からペクトリアーゼY-23,セルラーゼRSを用いて、プロトプラストを単離する方法を開発した。
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