研究概要 |
悪性腫瘍の超音波診断において癌および悪性新生物組織の超音波組織特性(ultrasound tissue characterization)は重要な決定因子である。3年間の研究成果を列記する。 1)59年度超音波組織特性研究の国際的現況の分析結果を報告した。組織特性については63編の論文が発表され、その主体は音速・減衰測定であった。乳癌組織中、特に硬癌はコラーゲン成分が多いため超音波減衰が強くacoustic middle shadow signが出現し、逆に髄様腺管癌はコラーゲン成分が少なく腫瘍上皮細胞成分が多いため減衰はなく逆に腫瘍後部のエコーが増強され、tadpole-tail signおよびlateral shadow signが出現するメカニズムが解明された。 2)60年度 比較的希有なる乳腺腫瘍である悪性リンパ腫および白血病細胞浸潤のように細胞成分の多い悪性腫瘍では超音波の減衰はおきず、逆に透過は良好なため腫瘍後部エコーは増強されtadpole-tail signおよびlateral shadow signが出現する事実を明かにした。 3)61年度 悪性リンパ腫の超音波組織特性の分析を行い限局性病変は低エコー性に描出され、組織特性の面ではリンパ球性の細胞均質病巣構築がこの断層所見の出現の原因であることが究明された。乳腺線維腺腫の超音波組織特性の分析も併せて行った。癌超音波診断の将来について映像診断分野で超音波検査の占める位置,新しい画像診断部の現況,癌超音波組織特性研究の現況分析を行いその将来について展望した。
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