研究課題
一般研究(C)
1)我々は昭和55年以来肺癌を中心とした肺切除予定の患者に対して手術を安全に行うために、術前に総合機能検査を肺血流ジーデターティーを施行し、この両検査から数式を用いて肺葉別の局所肺機能を算出し、肺切除予定患者の術後肺機能予測を行ってきた。その結果、術後の予測肺活量、一秒量、最大換気量を術後のこれらの実測値との間には、r=0>2〜0.8〓0と良い相関が見られた。低肺機能患者においては手術適応を決めるうえでも、とくに術後の肺機能予測は重要である。2)そこでその精度をあげるために、症例数の蓄積を図り、昭和59年末までに137例の症例について、術前におこなった術後肺活量予測値、一秒量予測値、最大換気量予測値を術後これらの患者で計った実測値との相関を調べたところ極めて良い相関が得られた。従ってこの方法は十分日常臨床上使用可能なことが分かったので現在、術後肺機能予測に最も信頼出来る方法として使用している。3)最近肺切除を必要とする患者にも次第に高齢者が増加してきており、術後の換気機能を予測するだけでは不充分と考えられることがおおくなってきた。特に低肺機能患者では、心肺予備能の低下があることが推測される。そこで我々は昭和60年度は、これまでの総合肺機能検査と肺血流シンチグラフィーに加えて肺切除予定患者に、術前自転車エルゴメーターによる多段階負荷試験を施行し、代謝測定装置で呼気ガスの分析を行い最大酸素消費量および運動負荷による血中乳酸値の変化を調べている。現在までのところ、肺機能検査のうち拡散能(DLCO)と最大酸素消費量との間に良い相関が見られている。特に最大酸素消費量HOOce/min、DLCD20ml/min/mmHg以下では術後の合併症の発生率が有意に高くなる事が分かった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (8件)