研究概要 |
子宮・胎盤・胎児系におけるProstaglandins(PG)の意義を明らかにする目的で、PGの代謝面および産生面から検討し、次の成績を得た。 1.胎盤PGDHを粗抽出物から硫安分画,ゲルフィルトレーション,カラムクロマトグラフィー,高速液体クロマトグラフィーにより、殆ど單-バンドまでに精製することが出来た。精製率は9,000倍、活性は7.6%回収された。最終的に得られた比活性は4,400mU/mgであり、まれまで報告された文献値に比べ最高であった。 2.インドメサシン,ピュウロマイシン投与による妊娠ラット子宮内胎仔発育障害の胎盤PGDH活性は低下した。しかし発育障害の程度とPGDH活性抑制との間には相関は認められず、インドメサシンによる子宮内胎仔発育障害はインドメサシンのPGPH活性抑制以外の因子によるものと推定された。 3.妊娠ラット子宮筋の【PGI_2】産生能を子宮部位別に検討した。胎盤付着部および胎盤対側部の【PGI_2】産生は妊娠進行とともに亢進した。基底脱落膜での産生は低く、妊娠による上昇はみられなかった。 4.PPGDHの粗抽出物および精製PPGDHを用いて産科常用薬の影響を検討した。活性を抑制する薬剤が多かったが、ズファジランだけが刺激的に作用した。 5.ヒト羊水を注入した家兎を羊水塞栓症の実験モデルとして、アナフィラキシーショックを起こした家兎肺中にLTが産生されていることをモルモット回腸片を用いたバイオアッセイと高速液体クロマトグラフィーで証明した。さらにヒト調整羊水を家兎に靜脈内投与1時間前にLT阻害剤(AA861)を投与しておくことにより、羊水投与による肺病変が認められるにも拘らず、肺抽出物中にLT活性が認められず、またショック死した家兎はいなかった。
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