研究概要 |
9.研究成果の概要(最終まとめ) 本研究は、歯科鋳造における鋳込み過程を詳細に調べるために鋳込み速度を連続的、かつ定量的に測定できる流速計の開発を目的としたものである。そのためにまず、電磁流量法を応用した流速計を試作、次に実流校正によりそのセンサーとしての機能を検討し、さらにガス加圧,遠心および真空加圧鋳造法に応用し、鋳込み速度の測定を試みた。 1.試作流速計:1)Hg用永久磁石一体型、2)Ag-Sn合金用永久磁石分離型、3)空芯コイル型の3種の流速計を試作した。1)および2)では、校正実験の結果、流速と超電圧との間に極めて良い直線的関係が得られ、流速計として使用可能なものであった。しかし、3)は、磁場が1)2)に比べ、約1/5〜1/10と小さく、また、急激な発熱を伴うために安定性に欠け、実用化は不可能であった。 2.ガス加圧鋳造への応用:上記の1)2)の流速計をガス加圧鋳造へ応用し、鋳込み速度の測定を試みた。その結果、明らかになった主なことは、次の通りである。(1)ガス加圧鋳造での鋳込みは二段階で行われる。(2)その前期において鋳込み速度は鋳造圧の高まりと共に増大し、鋳造圧が一定になった時に最大値を示し、その後減少する。その時間は、石こう系埋没材で長く、リン酸塩系埋没材では短い。(3)後期における鋳込みは、石こう系埋没材で変動現象を示す。しかし、リン酸塩系埋没材では、一定の速度の小さな鋳込みが長く続く。(4)タンク圧が高いほど前期の最大鋳込み速度は増大する。(5)石こう系埋没材での鋳込み完了時間は、タンク圧0.6〜1.2Kgf/【cm^2】の間でほとんど変わらない。 3.その他の鋳造への応用:遠心および真空加圧鋳造に本流速計を応用した。しかし、遠心鋳造では、鋳込み途中において溶湯が電極から離れ、連続測定は不可能であった。真空加圧鋳造では、電気的雑音が多く、正確な測定ができなかった。これらの鋳造においては、流速計の改良も含め、今後さらに検討を必要とするものであった。
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