1単素子の改良 この研究の目的は一次元配列のInSb検出器アレイを開発することであるが、それを構成する個々の素子の特性の改善も重要である。昭和59年度の報告で既に述べたように、浜松ホトニクスに於いて一応実用に耐える素子を製作することが出来たが、リーク電流量の目安となるゼロバイアス時の抵抗値【R_o】Aは良いもので約【10^5】Ωcmであり、米国製のものに比べて約一桁小さかった。この原因としてP-N接合形成プロセス中の加熱時間が長過ぎることがその後の研究でわかり、これを短かくすることで現在は【R_o】A=1.4×【10^5】Ωcmのものが安定して出来るようになった。しかし他のプロセスにも問題がある可能性もあり、現在試験を続けている。 2.8素子の一次元アレイ 昭和60年度には1.と並行して、8素子から構成された一次元アレイを試作した。個々の素子は0.6mm×0.6mmの大きさである。8個のうち5個は、抵抗値【R_o】=3×【10^7】Ω(77Kに冷却時)でほぼそろっており一応目標のものが出来ているが、残りの3素子は全く実用にならない程、リーク電流の多いものであった。その他の試作品についてもほぼ同様の結果で、分留まりが大変悪いことを示している。その後この原因はスパッタ装置に問題があったことがわかり、61年1月に浜松ホトニクスに新しいスパッタ装置が入った時点で新しく試作したところかなりの分留まりの向上がみられ、4月中には8素子すべてが動作するアレイを製作出来る見通しである。
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