研究概要 |
1.顕微鏡に超高感度テレビカメラを接続した超高感度画像処理顕微鏡の画像処理プログラムを追加して、1秒以下1/30秒までの任意の時間各画素ごとに蓄積し、光量と時間変化に最も適した解析を可能にした。また、画面中の任意の面積内での光量の時間的変化が記録できるようなプログラムを追加した。 2.この装置を使って、あらかじめエクオリンを注入しておいた種々の動物卵の受精および付活にともなう発光を記録してこの際の細胞内【Ca^(2+)】濃度の場所的、時間的変化をしらべた。 3.メダカ卵では正常受精の場合のほか、【Ca^(2+)】の微量注入による付活の際の発光を記録し、【Ca^(2+)】波の速度が植物極を通過する際に減少することを確かめた。正常受精の際の【Ca^(2+)】波と表層変化の関係などさらに解析し、結果は内外の学会で発表し、また論文作製中である。 4.ウニ,ヒトデ卵における受精にともなう【Ca^(2+)】波を解析した。 5.ゴールデンハムスター卵では、受精後【Ca^(2+)】濃度の増加が周期的に反復しておこる。解析の結果、最初の2,3回は【Ca^(2+)】の変化は精子侵入点附近から波状に伝導するが、以後の【Ca^(2+)】変化は卵内でほぼ同時に発生することがわかった。結果は殆んどまとまり、近く論文としてJ.Cell Biol.に投稿の予定である。 6.エクオリンをあらかじめ注入しておいたアフリカツメガエル卵を針でついて付活させると、刺激部分から【Ca^(2+)】濃度増加の波が発生し、全表面を伝導することがわかった。この波は従来報告されていた表面弛緩の表層変化と時間的にも場所的にも一致することがわかった。この結果の解析はすでに終了し、論文はJ.Cell Biol.に投稿中である。
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