研究概要 |
顕微鏡に超高感度テレビシステムを結合し、かつとらえた光点を任意の時間間隔で畜積して画像を作るように画像処理をおこなって、極めて微弱な光度をもった顕微鏡的試料を画像化することができた。 【Ca^(2+)】によって特異的に発光するタンパク質であるエクオリンを細胞の中に注入しておき、その発光を上記の超高感度画像処理顕微鏡によって記録することによって細胞内【Ca^(2+)】濃度の場所的、時間的変化を記録した。第1の実験ではメダカ,ウニ,ヒトデ,アフリカツメガエル,ゴールデンハムスターの卵の受精における細胞内【Ca^(2+)】遊離を記録した。いずれの場合も精子付着点近くから【Ca^(2+)】濃度の増加が始まり、卵表層を通って反対極に波状に伝わる変化が見られた。この【Ca^(2+)】波は表層粒や表層胞の崩壊の波状変化に先行していて、【Ca^(2+)】の増加が隣接部の【Ca^(2+)】濃度の増大をひきおこすものと考えられる。 アメーバ、粘菌変形体、シラタマモ細胞の浸透圧刺激による原形質の流動停止にともなう一時的な細胞内【Ca^(2+)】濃度の増加が見られた。アメーバの場合周期的な【Ca^(2+)】遊離が尾端附近で見られた。 細胞分裂周期にともなう細胞内【Ca^(2+)】濃度の変動をメダカ卵に注入しておいたエクオリンの発光や膜の透過性を増したウニ卵を入れたエクオリン溶液の発光から測定し、細胞内【Ca^(2+)】濃度は分裂周期にともなって変動し、分裂中に【Ca^(2+)】濃度が極小になることがわかった。 【Ca^(2+)】濃度によって螢光強度が変る色素Fura2を使って粘菌変形体における【Ca^(2+)】変化もしらべた。
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