研究概要 |
薄帯の作製、液体急冷法によるシリコン薄帯の作製を流体力学的パラメータのもとに行い、シリコン薄帯の形状と作製パラメータとの関係を明らかにすべく実験的研究を行った。これらの実験結果は作製パラメータとしての噴出圧力、雰囲気圧力、ディスクの回転速度すなわち作製速度が作製パラメータとして効果的であり、かつ理論的解析と良く一致することを明らかにした。結晶粒界の電子状態、不純物濃度を変化させて作製したシリコン薄帯の電気電導度、ホール移動度の温度依存性の測定結果は結晶粒界が二重の空乏層を形成するダブルショットキーバリアモデルで矛盾なく説明出来る事を明らかにした。このときの結晶粒界の電子準位は、深さが伝導帯から0.35eV,濃度5×1016/【m^3】である。また結晶粒界にまたがって電界が印加される方向における電流一電圧特性においてオーム性領域と指数関数的に変化する領域が観測され、閾値電圧は結晶粒界における障壁を担体が移動するモデルによって良く説明された。さらに結晶粒界個々の障壁の高さを計る方法の開発を行った。この方法はp-形ネマチック液晶セルを多結晶シリコン薄帯上に作製し粒界の電位分布を直視する。この結果は、巨視的にはショットキーバリアで仮定する均一な粒界の存在によって担体の輸送特性が矛盾なく説明されるが、担体個々の感ずる電位障壁は粒界個々によって、また同一粒界においても部分により異なる事を明らかにした。結晶粒界の不動態化、多結晶シリコン薄帯の結晶粒界における担体の再結合を減らし、光励起キャリアの収集効率を上げ太陽電池の効率を改善する。結晶粒界における不対電子による界面準位を水素、窒素原子のドーピングをプラズマ処理によって不動態化し、かつ広いバンド幅をもつ非晶質半導体の堆積による窓効果により変換効率を10%以上向上する結果がえられた。
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