研究概要 |
プラズマジェットは、燃焼ガス温度3000Kから20000K程度の温度範囲をカバーする唯一の熱源として、各種の用途に使用されている。通常のプラズマジェットにおいては、高圧ボンベに貯蔵されている非反応性ガス、Ar,【H_2】,【N_2】などが作動ガスとして用いられる。本研究においては、固体燃料プラズマジェット-プラズマジェットの放電自体により、固体のプロペラントを蒸発させ、作動ガスとして用いるプラズマジェット-の実用化の試験研究を行う。このような固体プロペラントで作動するプラズマジェットは、システム全体とて軽量かつ簡単であるのみならず、プロペラントを燃料成分と酸化剤で構成することによりエネルギーのすべてを電気エネルギーに依存せず、その相当部分を化学エネルギーで代替させうるという特徴をもっており、各種の用途に対して実用上の価値が大きい。 本研究の第1年度においては、固体燃料プラズマジェットに関する基礎データの調査、固体燃料プラズマジェットの試作及び試作したプラズマジェットの性能の検討を行ったが、その結果として、使用する固体プロペラントとして、あるいは酸化剤成分としてテフロンがすぐれた性質をもつことが示され、またこの形態のプラズマジェットは比較的高い効率を出しうることが実証された。第2年度においては固体燃料プラズマジェットの始動方法の改良に関する研究を行うとともに、固体ロケット点火器としての固体燃料プラズマジェットの適性、固体燃料プラズマジェットの反動制御ロケットエンジンへの応用について検討を行ったが、その結果この形態のプラズマジェットは数回程度の繰返し可能な点火器として利用し得ること、また電力の余裕のある宇宙飛翔体の反動制御エンジンとして有望であることが結論された。
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