59年度研究においては装置を完成させ、予備的な実験によってその作動を確認した。また、き裂先端のひずみ場を二次元的に測定するための画像処理システムを開発した。60年度においてはこれら開発されたシステムの実用化試験を行った。すなわち、片側き裂付曲げ試験片を用いた動的破壊試験をパラメトリックに行った。ローレンツカの与え方としては、直接通電と間接通電の2方式を比較した。動的破壊靭性値の決定法としては、破壊様式に応じて2つの方法を用いた。1つは脆性破壊の場合で、電位差法によってき裂発生点を検出した。別に行ったFEM解析によるJ値一変位曲線からJcを求めた。次に延性破壊の場合は、動的Rカーブ法(複数試験法)を用いた。ここでは、電磁力の大きさを調節して複数の破壊実験を行ない、それぞれの最大たわみδを測定する。これを用いて、静的実験から得られたユニークなJ-δ関係から対応するJmを求め、このJmと別に測定されたき裂進展量Δaから動的Rカーブを作り動的靭性値Jidを求めた。 破壊靭性試験とともに、昨年度完成した画像処理システムを用いて点認識手法によるき裂端近傍の動的ひずみの測定を行った。本実験は高速現象であるためまず高速度カメラによる撮影を行ない、フィルムの各コマについてオンラインで処理、計算を行った。この結果、従来得られることの少なかった動的破壊下のひずみ分布が高精度で求められることがわかった。
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