フレキシブル加工セル(FMC)は、ジョブショップタイプの製造システムの基本的な製造ユニットであり、近年、多品種少量生産に対する新しい加工ユニットとして注目されはじめている。このFMCでは、加工物の位置決め、特に心出しは、最も重要な作業であるが、その自動化は因難であり、今日でも自動生産工場においては、心出し作業は、作業者によって行われているのが普通である。 本研究では、自動位置決め機能をもつ新しいタイプのFMCを設計し、そのFMCにおける自動位置決め装置を試作した。この装置は、複雑な心出し作業から作業者を開放するとともに、完全な無人化工場の実現に役立てようとするものである。 本研究により、以下の結論が得られた。 1.新しいタイプのフレキシブル加工セルを設計・試作した。このFMCは、割出しパレット交換装置、工作物締付け装置、産業用ロボットなどから構成されている。その特徴は、次のとおりである。 (1) 産業用ロボットは、加工物の搬送と加工物の位置計測の2つの機能をもつ。 (2) 複数の工作物締付け装置が、割出しパレット交換装置上に装備されている。一つの品物が数値制御工作機械またはマシニングセンターによって一つの工作物締付け装置上で加工されている間に、加工待ちの他の品物に対して産業用ロボットによる心出し作業を行うことができる。このように、加工と心出しの2種類の作業を同時に処理できる。 (3) すべての作業が、マイクロ・コンピュータによって統合的に制御される。 2.心出し作業の手続を前もってチェックするために、心出し作業のコンピュータ・シミュレーションを行う方法を作成した。 3.このFMCを効率よく運用するための、手順を構築した。
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