1. 研究目的 昨年度(昭和59年度)までに開発した回転運動と直線送り運動間の同期誤差演算処理装置およびリードのよろめき演算処理装置による両計測技術をネジおよびウォームの最終仕上加工であるネジ研削加工に適用して、ネジ加工精度を向上させることを目的とする。試験したネジ研削盤については駆動系の改良すべき箇所が明確にでき、これらの技術の蓄積は高性能なネジ研削盤の設計に有効に適用できる。 2. 研究成果 生産現場において、工作機械精密送りネジおよび精密ウォームを仕上加工するために使用されている精密ネジ研削盤を対象として、(1)空転試験、(2)研削試験および(3)リードのよろめき測定試験を実施したところ、以下のことが判明した。 (1) 同期誤差の測定結果は、空転中と研削中においてほぼ同じ値を示す。 (2) テーブルの送り方向により同期誤差の測定結果は明らかに異なった値を示しており、これはネジ研削盤のテーブル送りネジの両端の支持機構に起因するものである。したがって、精密なネジの仕上研削は常に高精度の送り方向を適用すべきである。 (3) 同期誤差測定結果をFET処理することにより、テーブル摺動面のスティックスリップおよび駆動系の特定の箇所に起因する同期誤差成分が明確にできた。さらに、これらの同期誤差が研削ネジのリード誤差に転写されていることも確認できた。 以上の研究成果は、昭和61年3月に開催される昭和61年度精密工学会春季大会学術講演会において講演発表される。
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