研究概要 |
超音速遠心圧縮機は単段で高い圧力比を実現できるが、一定回転数において吐出量を殆ど変えることができないために産業用圧縮機には適していない。本研究は、サージからチョーク迄の流量範囲を広げることを目指して羽根車およびディフューザを設計して実験し、問題点を明白にし目的の達成を計るものである。 まず一次元及び非粘性流体の準三次元流れ解析と蓄積された情報とを組み合わせて羽根車設計のCADシステムを作成し羽根車を設計した。その際流入マッハ数が甚だ大きいときにはインデューサ翼前縁にできる衝撃波が翼面境界層のはくりを引き起こしサージの原因となるので、衝撃波の上流では翼の反りを小さくした。また圧縮機の圧力一流量特性を安定な右下がりとするために羽根車出口は40度の後傾翼とした。 羽根車単独の性能を調べるにはディフューザなしでの実験が望ましいが、羽根車出口の正常な流動状態を確保するために、羽根車直径の1.1倍までの区間を羽根なしディフューザとした。 実験では、特性試験,羽根車出口の流動状態,および羽根車内部での圧力上昇を測定したほか、インデューザ入口付近の衝撃波の様子をシュラウド付近については変動圧力計により、スパンの中央付近についてはレーザー2焦点流速計によって求めた。 一方、実測されたインデューサの失速限界流量における流入マッハ数と入射角とを流れ解析で求め、レーザー流速計による実測値と比較したところ、亜音速流入ではよく合致した。従ってその失速限界は妥当であるが、超音速の流入状態では衝撃波の発生のために普通の解析は流れを正しく表しておらず、また失速の限界条件は亜音速のときとは異なる。 なお小弦節比翼列ディフューザを備えた実験は近く実施する。
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