二枚の平行円板を回転させると、その間に挟まれた流体には非軸対称な不安定旋回流れが発生する。電子計算機の外部記憶装置の主流をなす磁気ディスク装置内で発生するこの現象は、ディスクフラッタの原因となり、アクセスミスのみならず、ディスク面と浮動ヘッドの衝突(ディスククラッシュ)をも引き起こす。本研究は最終的には円板間の流体が円板に及ぼす流体励振力を定量的に求めることを目的としているが、本年度は円板間に発生する非定常流れの速度分布を求めることを目的として、以下に述べるシステムを作成した。 (1)実験装置 水中で二枚の円板を回転させ、陰極として円板間に張った一本のステンレス線から電気分解により水素気泡を発生させるものである。電極の形状は、まだら型と格子型の二種類である。 (2)測定装置 非定常流れのじょう乱成分と定常成分の分離を目的として、一体型ビデオカメラを円板と同期して回転させ、回転系に視点を置き、一本の陰極線から出る水素気泡の映像をビデオカメラに収録する。 (3)画像データ処理システム 一体型ビデオカメラに収録された画像から、編集機能付ビデオレコーダによって静止画像データ群を得る。この静止画像データ群を画像メモリ装置を用いて二値化し、電極の位置と水素気泡の位置を読み取り、速度ベクトルを得る。この手続きを一周期にわたって行い、平均化すると、非定常流れのじょう乱成分と定常成分が分離できる。 本年度作成したシステムを用いて得られた成果は以下の通りである。 (ア)円板間に発生する非定常流れはじょう乱成分と定常成分とから成り、じょう乱成分の振幅は、円板の回転数が高いほど、また円板間隔が広いほど大きい。 (イ)非定常流れの定常成分は、半径に比例した直線分布とはならない。
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