1. 本研究によりチッ素を含むアモルファスシリコン膜の基礎的な特性として、つぎの事が明らかになった。これらは、この薄膜を光検出素子に応用する際に重要な特性である。 (1) 光導電率と暗導電率は、ともにチッ素添加により増加する。そして、光導電率/暗導電率の比は、さらにボロンを添加することにより、非常に大きくなる。 (2) 光導電率と暗導電率の両者とも、堆積時の基板温度に強く依存する。光導電率/暗導電率の比が最大となる最適温度は、約300℃である。 (3) チッ素を加えると、長時間の光照射により光導電率および暗導電率が減小するという、いわゆる光劣化特性が改善される。 2. 以下に示すいくつかのタイプのフォトセンサを提案して、その可能性を確認した。 (1) 短波長領域の波長感度が改善されたフォトセンサ (2) 光の入射方向を検出するフォトセンサ (3) ごく近くの物体との距離を検出する近接センサ (4) 光スペクトルの違いを検出するカラーセンサ これらのフォトセンサについて、1で測定されたシリコン膜の基本特性にもとずいて、素子の設計を行いプロトタイプを製作して、実際の動作を確認した。さらに、検出された信号に電子回路的に適当な処理を加える、いわゆるインテリジェンスデバイスへの拡長を試みた。
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