本研究では、電気製品等の配線・ハンダ付け作業の自動化のため、線状物を検出し、その位置決めをする視覚システムを試作する。線状物はその形状が変化するため、ロボットの手でその先端をつかむためには、その3次元的な位置決めを行う必要がある。このため、本研究では研究担当者らの開発した影の情報を有効に利用する方法により、線の先端の3次元位置を精度よく計測する。 昨年度は以上の理論をマイクロコンピュータPC-9801で実現し、その精度、処理速度等の検討を行った。本年度は、さらに実用的な処理速度を実現するため、画像処理用プロセッサTOSPIX-【II】上で以上の原理を実現した。また視覚システムとマニピュレータを結合し、種々の対象について、視覚情報を用いて線の先端をつかむ実験を行った。 (1)画像処理アルゴリズムの画像処理用プロセッサによる実現:本手法では、あまり複雑な画像処理を必要としないため、マイクロコンピュータを用いてもそれ程処理時間はかからない。しかし、画像処理用に設計されたプロセッサを用いると、さらに高速化され実用的な処理速度になることが期待できる。これを確認するためTOSPIX-【II】上で画像処理のアルゴリズムを実行した。その結果、画像の入力から線の先端を検出するまでの時間は0.40秒であることが分かった。マイクロコンピュータを使用するのと比較すると40倍以上の高速化で十分実用的な速度である。 (2)ハンドアイ システムの作成と総合実験:以上の視覚システムをマニピュレータと結合し、視覚情報を用いて線の先端をつかむ実験を種々の対象についてくり返し行った。その結果、本手法を用いた視覚システムの精度は、線をつかむには十分であることが分かった。
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