研究概要 |
本研究で得られた成果は概略次の通りである。 1.電子温度測定 パルスの波形や周波数によって放電管内の電子エネルギーを制御し、スペクトルを選択放射させるのが本課題の原理である。探針法により、電子温度を測定し、水銀の紫外線の強く放射する高周波矩形パルス点灯時に最も電子温度が低下し、励起レベルの低い紫外線(253.7nm)が効率的に放射することを確認した。 2.市販螢光ランプの高効率点灯 市販の各種螢光ランプを本課題方式で点灯したところ、通常の商用電源点灯に比べ、ランプ自身の放射効率はおよそ30%程度向上した。しかし、点灯回路損失をも含む総合効率は殆んど向上しなかった。これは、電子式点灯回路に対しては、市販ランプの等価インピーダンスが低過ぎ、回路損失が大きくなるためである。 3.封入希ガスの組成・圧力による効率改善 市販ランプのままでは総合効率を向上させられないので、封入ガスの組成や圧力を本方式に合致するように変更してみた。その結果、アルゴンに数+%のネオンを混合したり、純粋アルゴンでも封入圧を増加したりして放電管の等価インピーダンスを大きくしてやると、ランプ効率は低下するものの総合効率は向上した。実験の範囲内で最も良い結果が得られたのは、純粋アルゴン7Torrのランプを周波数10KHz,duty ratio 0.9のパルスで点灯した場合で、市販ランプを通常点灯した場合よりも総合効率にして15%向上させることができた。 4.点灯回路の損失低減 点灯回路としては、巻数比1:35程度の小型トランスをプッシュプル回路で駆動する方式が、安定度、部品コスト、放射効率等の点で最も良かった。そして、その直流電源の電圧をサイリスタ等の低損失素子を用いて、始動時と安定点灯時とで自動的に切り換える方法で回路損失を低減することができた。
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