鋼部材と鉄筋コンクリート部材とを接合する基本形式として、プレストレスによる接合工法、スタッドシャコネクターによる接合工法および鉄骨とコンクリートの付着による接合工法を取り上げ、接合部の変形性状、耐荷性状などにつき実験的に研究した結果、以下の諸点が明らかとなった。 1.プレストレスにより引張力を伝達する接合部では、その耐力を実際上問題無くすることは容易であり、その剛性のみが問題となるが、適当な厚さだけコンクリートを充填すれば、その補剛効果によって、十分な剛度を得ることができる。また、その剛性は、通常の三次元FEM解析により容易に算定できる。 2.圧縮力を伝達する接合部の耐力は、エンドプレートを介して集中線荷重が載荷される場合のコンクリートの耐力によって支配され、コンクリートの圧縮強度に比例し、エンドプレート厚さの増加によって直線的に増大する。また、鋼桁フランジにより伝達される力はスタッドを用いてなくても充填コンクリートの効果で相当に分散される。 3.鋼板にスタッドを溶植し、異形鉄筋と共にコンクリートで包み込み、鋼板に作用する力を鉄筋に伝達させる接合工法は、スタッドの本数および配置、コンクリート強度、埋め込み長さなどを適当にとれば静的にも、疲労的にも鉄筋強度に等しい強度を発揮する。特に、疲労強度は、鉄筋を鋼材に直接溶接する形式の接合工法におけるものより大きくすることができる。今後の課題として、接合部に配するフープ筋が剛性向上に及ぼす効果を解明することがあげられる。 4.H形鋼を鉄筋コンクリート中に配置した供試体の載荷実験の結果H形鋼とコンクリートとの付着が無い場合、相当に大変形しないと断面の累加強度に達しないことが明らかにされ、接合部近傍における鋼材とコンクリートの付着の重要性が確かめられた。
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