本研究の目的は、大都市圏(たとえば京阪神)における道路網のあり方を検討するために、圏域内に形成される交通圏とネットワークとの関係を明らかにし、さらにそれにもとづく道路網計画への評価プロセスを開発することである。具体的には、 【◯!1】大都市圏パーソントリップ調査データを用いて、トリップテチェインアプローチにより業務活動パターンとネットワーク形成の関係について実証的分析を行なう。 【◯!2】都市域の業務活動に着目した交通圏モデルを構築し、京阪神都市圏全体を対象とした今後の広域道路網のあり方について、交通圏モデるの適用による評価プロセスを開発する。 59・60年度に得られた主な研究成果を以下にまとめて示す。 【◯!1】昭和55年度京阪神都市圏P.T.調査データを用いたトリップ単位の交通流動分析およびトリップチェインアプローチによる業務活動パターンの実証的分析を行ない、交通流動パターンとネットワーク形成の関係のとらえ方を明らかにした。 【◯!2】事業所と訪問先との結びつきの強さが交通圏形成の規定要因であるとの仮定の下に都市域の業務活動に着目した交通圏モデルを構築した。さらに、このモデルを改良し、交通圏モデルを用いた将来道路網の評価プロセスの構成について多面的な検討を加えた。 【◯!3】京阪神都市圏全体を対象として、将来道路網の整備計画案をいくつか設定し、それらが京阪神都市圏内に形成されている複数の核都市交通圏へどのような影響を及ぼすかについて、比較・評価した。同時に京阪神都市圏全体の一体性からみた道路網の評価方法について考察した。
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