研究概要 |
昭和59年度において作製した焼結シミュレーターのリードウェアについて、以下の3項目について性能試験を行ない、各種試験方法を確立した。 1. ベッド温度、圧損等のデータ測定機能および操作性:通常操作、層急冷固定操作について、モデル原料を用いて各種測定を行い、本システムを評価した。これに基き、ガス流量、予熱温度、反応ガス切換えタイミング等、操作パラメータの範囲を決定し、試験方法を確立した。 2. 焼結プロセス排出ガス中の【NO_×】,【SO_2】の評価:本年度購入備品である、NO,【SO_2】2成分同時測定赤外ガス分析計を、本試作装置に組み込み、コークス燃焼中のNO,【SO_2】の排ガス中濃度の連続測定を可能とした。NO,【SO_2】等の微量成分は、コークスの燃焼状態をよく反映し、焼結プロセスの数学的モデルの妥当性の検証手段として極めて有効であった。さらに、環境対策上も両成分は注目すべきものであり、その低減方法について、コークスの燃焼状態(賦存状態も含む)の制御による可能性を見い出した。これについては、次年度、さらに詳細に検討する予定である。 3. 焼結原料設計によるプロセス制御:報告者らは、原料設計による省エネルギー、高品質焼結鉱製造プロセスの可能性を従来より提案しており、本装置を用いてさらに検討を進めた。脈石成分や、媒溶剤として添加する石灰石、生石灰、蛇紋岩、珪石の適量および最適賦存状能について、鉄鉱石種、コークス粒度、配合量等と共に考察し、種々の実験を行った。急冷操作により、原料の相違による層構造変化温度に及ぼす影響についても解析した。さらに、賦存状能を考慮した数学的モデルの開発にも着手した。次年度はこれについても続行する予定である。
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