研究概要 |
本研究では、前年度の基礎研究で得られた接合技術を用いて、ニューセラミック-鉄系複合材料を製造すると共に、接合部の組織的及び物理的調査を行った。得られた成果は次のようである。 (1) 鋳ぐるみ法による複合材料の製造 セラミックの中でも鉄系溶湯と比較的めれ易い炭化物系セラミックを主成分とするWC及びTiCサーメットをCr量の異なる鋳鉄で鋳ぐるみ、複合材料を製造した結果、WCサーメットは25%までのCr含有鋳鉄で良好な接合をし、TiCサーメットは高Cr鋳鉄溶湯とのぬれ性がWC系よりよく、広範囲の高Cr鋳鉄と複合化できた。接合強度はいずれもせん断で5Kg/【mm^2】であり、実用材料としてかなり評価し得る。また、WC-高Cr鋳鉄複合打撃子を試作し、インパクトクラッシャーに取付け、フィールドテストの結果、高Cr鋳鉄製より1.4〜1.5倍の耐摩耗性を示した。 (2) 溶浸法による複合材料の製造 気孔率約40%のWC及びTiCセラミックスケルトン(多孔質体)の空隙部に高Cr鋳鉄を溶浸し複合化したが、WC系の場合15%Crまでの鋳鉄で、TiC系の場合27%Crまでの鋳鉄でスケルトンの中心まで溶浸された複合材料を製造できた。また、WC系の場合、Niを含有したスケルトンを用い、高Cr鋳鉄溶湯中にMo,Ni,Ti等の合金元素を添加することにより、一方TiC系ではMoを含有したスケルトンを用いることにより、両スケルトンと高Cr鋳鉄とのぬれ性が向上し、溶浸しやすいことが判明した。これらの手法を用いることにより、さらにCr量の高い鋳鉄を溶浸した複合体の製造の可能性が示された。 (3) 溶融拡散接合法による複合技術の開発 種々の研究の中でニューセラミックスと鋼を溶融拡散接合させるインサート材としては薄い純Cu板がもっともよい結果を示したが、せン断試験では2〜3Kg/【mm^2】程度の接合強度しか得られなかった。
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