研究概要 |
ゲルの一方向凍結法によりチタニアおよびアルミナ繊維を製造し、繊維の生成条件、生成機構および構造と性質を明らかにした。 チタニア繊維の原料としてはTi【Cl_4】の加水分解によって調製したゾルを使用した。アルミナ繊維の原料としては、市販のゾル3種のほか、研究室で調製した2種類のゾルを使用した。ゾルを直径20mmまたは8mmで高さが120mmのセルローズチューブに入れ、2〜30日間蒸溜水中で透析することによりゲルを生成させた。ゲルをポリエチレンシリンダーに入れ、-78℃の冷媒中に1〜13cm/hの速度で降下させて一方向凍結した後室温で解氷した。Ti【O_2】では濃度1.0および2.0Mのゾルから得たゲルを2.0および4.5cm/hで降下させたときのみ氷の繊維のセルラー成長がおこりゲルと同じ長さのチタニア繊維が生成した。【Al_2】【O_3】では透過型電子顕微鏡で羽毛状の粒子が見られたゾルから得られるゲルを、6および9cm/hで降下させたときのみ氷のセルラー成長が起って長さ1〜5cmの繊維が得られた。粒状や小繊維状の粒子をもつゾルを用いた場合には、ゾルの【Al_2】【O_3】濃度、凍結条件に関係なく繊維が生成しないことがわかった。これらの理由をセルラー成長とゲル化の程度および別に求めた一方向凍結中のゲルの凍結速度Rと凍結面の温度勾配Gに関連づけて説明することができた。また繊維径もRとGの積に逆比例して変化することを明らかにした。 得られた繊維はいずれも多孔質で、110℃で乾燥した繊維の比表面積はTi【O_2】で350【m^2】/g,【Al_2】【O_3】で240【m^2】/gであった。またTi【O_2】は少量のアナタース、【Al_2】【O_3】はベーマイト(γ-Al00H)結晶を含み化学組成は前者でTi【O_2】・0.3【H_2】O、後者で【Al_2】【O_3】・2.8【H_2】Oであった。【Al_2】【O_3】繊維を加熱すると1000℃で引張強度が平均180MP2まで増大した。これらの結果からチタニアおよびアルミナ繊維は触媒担体ならびに強化用繊維として使用することができると判断した。
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