研究課題/領域番号 |
59850134
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松永 是 農工大, 工学部, 助教授 (10134834)
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研究分担者 |
大隅 正子 日本女子大学, 家政学部, 教授
中島 幸一 福岡歯科大学, 口腔衛生学, 助教授
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キーワード | サイクリックボルタメトリー / モデル感染尿 / 薬剤感受性試験 |
研究概要 |
細胞検出システムの細菌の薬剤感受性試験への応用を行った。モデル病原菌としては大腸菌を用いた。この大腸菌を培養後、各種抗生物質を含む液体培地中に37℃で1時間放置し、メンブランフィルター上に吸着固定し、BPG電極に直接装着してサイクリックボルタメトリーを行った。その結果、抗生物質感受性菌では第1回走査で得られたピーク電流値が抗生物質を加えない場合の60〜75%と低い値を示し、第2回走査においてはピーク電流はほとんど計測されなかった。これに対して耐性菌は抗生物質を加えた後も第1回走査、第2回走査において0.7V(VS SCE)付近にピークが得られ、その波形も加えない場合に得られたものと等しかった。また、抗生物質感受性菌のピーク電流値は抗生物質の濃度の増加とともに減少するが、耐性菌ではあまり変化しない。さらに、得られたピーク電流値は抗生物質添加時の菌数(初期菌数)の増加とともに増加した。これより、抗生物質を加え1時間放置しピーク電流値を測定することで、抗生物質感受性菌と耐性菌の識別、菌数、最少発育阻止濃度を推定できることが示された。そこで、この方法をモデル感染尿中の原因菌の薬剤感受性試験に適用した。モデル感染尿(初期菌濃度【10^6】Cells/ml以下)は菌濃度が低いため、1時間放置では特徴的なピークは得られなかった。しかし、3時間放置することで感染尿(初期菌濃度【10^5】Cells/ml以上)は0.4μA以上、非感染尿は0.2μA以下のピーク電流値を示した。また、抗生物質を加えて放置した場合、耐性菌であれば0.3μA以上のピーク電流値、感受性菌であれば0.2μA以下のピーク電流値を示した。その上、加える抗生物質濃度が最少発育阻止濃度以下ではピーク電流値は増加するが、最少発育阻止濃度以上ではほぼ一定値を示した。以上のことから、感染尿の検出、薬剤感受性、有効な抗生物質の最適最少濃度をボルタメトリーによる細胞自動検出システムにより短時間で行なえることが示された。
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