研究分担者 |
板谷 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (80035071)
谷口 彬雄 日立製作所, 基礎研究所, 主任研究員 (00283242)
山崎 巌 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80002111)
田附 重夫 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (20025993)
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研究概要 |
屈折率の大きいガラス基板に屈折率の小さい高分子材料を密着させ、励起光をある角度以上で導入すると全反射現象がおこる。この際光はある深さだけ高分子側にしみ込むが、その深さは屈折率、入射角度、波長の関数であり、実験条件の設定により選択できる。この方式により表面のみ励起し、その部分から発する蛍光を測定する分光を全反射蛍光という。この実験を顕微鏡下で行う機械及び光学系を完成し、次の実際的な性能をもつ動的蛍光マイクロプローブ法へ発展させた。(【i】)深さ分解,0.1μm。(【ii】)二次元分解能,5μm。(【iii】)時間分解能,10ps。(【iv】)波長分解能,10nm。このプローブ法の応用例として、高分子キャストフィルムにおけるドーパントの深さ方向の知見を求めた。とりあげた系は、光電導高分子として知られるポリ(N-ビニルカバゾール)にペリレンを添加したフィルム、および光物理過程研究のモデル系であるピレン添加ポリ(メチルメタクリレート)フィルムである。いづれの場合も、界面近傍のドーパントの濃度はバルクに比べ低いことを示した。この結果は、光物理,光電導機構を深さの関数として見通おす必要があることを示している。第二の応用例として、絹における天然色素の深さ方向の解析を行った。絹布は多数の繊維からなっているので、光散乱もよくおこり、全反射測定としての光学条件は悪いと考えられる。しかしながら天然色素は内部に存在し、表面近傍の濃度は低いことがわかった。我々はこのような光学的条件のよくない系でも本プローブ法は有効であることを証明することができた。この他本研究遂行中に、有機薄膜の蛍光ダイナミクス,レーザーアニーリング現象について、全く新しい興味深い結果を得た。
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