1. 本年度供試した材料は、58年産、59年産及び60年産の島根県産米ならびに、60年産の宮城県及び宮崎県産米である。 2. 58年島根県産米12点(他に比較用に新潟県産米1点)については、前年度中にすべての調査が終了していたので評定式の作成を行った。その際本年度に新たに採用した方法は、評定式を構成する変数のもととなる形質は、各種(15項目)の理化学的形質のうち、今回の58年産米についてだけでなく、既に報告した56年産米に関するものも参照し、両年度に共通して官能検査総合値(To)と相関の高い5つの形質をとり上げたことである。その結果作成した評定式は58年産米については次の通りである。 Tt(食味理論値)=-0.06M+0.04P-7.67N-1.38R+1.25S M:精米の砕粒歩合 P:炊飯の膨張容積 N:ヨード呈色度 R:テクスチュロメーターによる付着性 S:同左粘着力 13試料のこの式によるTtとToとの間には、+0.86の高い相関があり、両者による食味の順位は相当に一致して、そのずれは全平均で1.46位程度に過ぎない。(この項研究発表) 3. 59年島根県産米16点は前年度末に官能検査を終了し、本年度に入って各種(15項目)の理化学的形質)の特性調査(測定)を行った。その結果について検討を加えて評定式の作成を試みている。 4. 本年度は県内産のみならず、環境の異なる県外の産米も材料として本研究の普遍性を検討する目的で、東北(宮城県)及び九州(宮崎県)の両県農試に依頼して、各5品種ずつ計10点の試料(各精籾2kg)を秋期に取寄せた。これに60年島根県産米10点を加え計20点を本年度の新たな供試材料として、籾摺精白して、61年2月に25名のパネラーによる官能検査を行い、ついで各種の理化学的調査を行いつつある。
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