研究概要 |
本研究は三年間の期間を有し、ブラシノライドとその同族体の農業における作物栽培の制御技術への応用の可能性を進及し、その実用化による作物の生産性の向上を計画した。 応用可能な新しいブラシノステロイドが数種の植物について検索され、約10種類の新化合物が発見された。これらのうちの幾つかは合成され、生理活性が調べられるとともに、その応用研究もはじまっている。一方より安価なブラシノステロイドを得る目的で合成研究を行い、ブラシノステロイドのA-B環に直鎖構造部分を有する物質に弱いながらも活性を認めた。また同様な目的のために、ブラシノステロイド産生微生物の検索を数百種類のカビと微生物を用いて行ったが、未だ見出されていない。前駆体と思われるステロイド類を培地に加えたり、培養中の光条件を変えたりしたが、生産には無効であった。ブラシノステロイドの実用化研究には、ブラシノライド,ホモブラシノステロイドおよびエピブラミノライドを用いた。その結果、増吸効果が、イネ,コムギ,トウモロコシなどに認められ、耐冷性効果がイネ,キウリ,トマト,ナスなどに認められた。除草剤に対する薬害軽減効果はイネやムギに認められた。また病害に対する抵抗性もイネのイモチ病,ハクサイ軟腐病等に認められた。この結果、ブラシノステロイドは植物の生産制御に有効な薬剤であることを明らかにすることができた。
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