農村集落排水のような小規模汚水処理施設に適した新しい処理技術の開発を目的として、間欠曝気による窒素除去技術を確立し、併せてその浄化機構を解明することを目的として実験を行った。 汚水処理は主として水中微生物の生物化学的代謝作用により浄化が行われる。このため汚水の浄化機能は水温の影響を強く受けることになる。そこで本年度は冬季の微生物活性の弱い水温低下時において高率脱窒を行うための最適運転方式の解明を中心として実験を行った。 その概要は以下のとおりである。 1.現地施設における実験結果では、水温が10°C前後でも滞留日数15日、1日当り9〜10時間の曝気時間という設定条件で、T-N2.8〜10mg/lという良好な処理水質を得た。このように水温低下時でも良好な処理が行われたのはBOD-MLSS負荷が0.04g/gMLSS/日以下と小さく、負荷に余裕があるためと考えられる。 2.室内実験の結果では、水温が8°C程度に低下してもMLSSを5000〜5500mg/lに保っておけば、昼と夜の負荷変動に十分対応できており、窒素除去率は70%以上と良好であった。 3.水温が低くなると水中での酸素移動速度が大きくなり、活性汚泥の酸素吸収速度は小さくなるので、DOの変化に対応して曝気時間を短縮すべきことが明らかとなった。 4.以上のような間欠曝気法における曝気時間の自動制御を行うために光センサーを用いた自動調節装置を試作し、実験を行った。即ち光センサーを用いて汚泥の沈降界面を検出することにより曝気時間を制御するとともに、余剰汚泥の除去をも行って、平均窒素除去率90%を得ることができた。本方式の制御回路は入力信号も一種のみと比較的簡単でかつ経済的であるので実用化に適しているものと考えられる。
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