当センターにおける小児開心術症例の検討より、約8年間に14例の補助循環施行例があったが、生存例は2例とその成績は不良であった。死亡例を検討すると今回開発を進めている小児用補助人工心臓(VAD)を適用すれば、救命の可能性があったと考えられ、特にFontan術後やSeptationによるものに多くみられた。 動物実験においてFontan術後モデルとして左心側にVADを装着し、自己心を心室細動にしたところ肺血管抵抗が高くなければ全心及び肺循環を1つのVADのみで1月間維持できることを確認した。 昭和60年2月に我々が経験した小児用VADの臨床例においては、その循環維持効果が強力であることが確認された。患児はVAD離脱、日後呼吸不全にて死亡したが、適用を早く行なえば、救命の可能性はあったと考えられた。 昨年より検討を行ない現在臨床応用可能な血液ポンプ(1回拍出量20ml、流入出口に21mmのBjork-Shiley弁使用)及びConduit(内径6および8mm)では、体重7-8kg以上あれば使用可能と考えられた。以上の結果VADの使用を含めた重症心不全に対する治療体系を作成し、今後適用症例があれば、遅滞なく臨床応用を行なっていくこととした。 現在使用中の血液ポンプにおいては、弁の逆流が多いことが問題であり現在利用できるより口径の小さな弁(19mm)が使用可能なように改良を進めている。
|