研究概要 |
1.血液を試料とする場合はフィブリンが血清採取を困難にし、前処理カラム圧上昇の原因となることから凝固促進剤入りの試験管を用い血清分離する。 2.血清に5α-ジヒドロテストステロンおよびコルチゾールを添加する。これらはそれぞれTeBG,CBGとの結合能が高いため血清中でこれらと結合していた性ステロイドホルモンの測定が可能である。 3.前処理カラムとして当初【C_8】化学結合型シリカカラムを使用していたが、セラマウト25(積水化学)を用いることとした。このカラムは水のみで試料の吸着,洗浄(除蛋白を含む)が可能である。 4.分析カラム(【C_(18)】化学結合型カラム)は製造番号によっても若干分離能に差があり、特に内部標準品(e-methyyaniline)の脂肪酸誘導体はステロイドホルモンのピークと重なることもあるので十分注意する必要がある。 5.前処理カラムの前に焼結金属フィルター、分析カラムの前に少量の【C_(18)】化学結合シリカを充填したガードカラムを装着し、これらを適宜交換することにより、前処理カラム,分析カラムの耐久性と増すことができる。 6.データ処理装置を導入すれば、ベースラインのドリフトやピークオーバーにもオートゼロ機構やデータ記憶で対処でき、夜間無人運転も可能である。 7.卵胞期血清ではエストラダイオール,エストロンの測定が可能で、黄体期および妊娠初期血清では、さらにプロゲステロン,20α-ハイドロキシプロゲステロン,17α-ハイドロキシプロゲステロンの測定が可能であった。 妊娠中期以降では17α-ハイドロキシプロゲステロンの測定はできなかったがそれぞれ特徴的な妊娠経過に伴う増加傾向を示し、無脳児や子宮内胎児死亡に至る症例では異常プロフィールを示した。卵胞液では、さらにテストステロンのほかアンドロステンダイオンの測定も可能であると判明し、7種のプロフィール分析が可能である。
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