心身障害者や寝たきりの患者が手を使うことなくしかも介助者の負担の少ない簡便な口腔清掃装置の試作およびその口腔清掃効果と有用性について検討を行なった。 1)試作機の概要 本装置の試作に当たり、所要の諸性能とデザインを設計し、長田電機工業にて製作を行なった。ブラシの振動はエアーシリンダーとピストンから得られる往復運動を利用した。本装置は本体、可能アームとその先端につくエアーシリンダーによる加振ブラシから成り立ち、本体内部には、コンプレッサー、吸引装置、給排水タンクおよび電気系制御パネルが収納されており、キャスターで移動することができる。本体部の外形は、高さ78cm、巾70cm、奥行き52cmであり、100Vの電源のみで作動する。 2)使用法 加振ブラシは市販のコリスカーブ歯ブラシを改良した。すなわち2本のブラシ部の先端を毛先を外に向けて張り合わせ、上下顎の歯列に挿入し振動させる。振動数は毎秒1〜10回で調節が可能である。ブラシの把持部は硬質ゴムとなっているのでブラシの交換はワンタッチで簡便に行なうことができる。 3)使用効果 歯学部の学生での使用成績はプラークスコアは2.1から1.3に減少した。また同様に心身障害者の入院施設における筋ジストロフィー患者での使用成績は3.8から2.1に減少した。今後装置の操作性やブラシ部の改良、さらに水-粉体噴射装置の併用などにより一層実用性の高いものに改良していきたいと考えている。
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