研究概要 |
各歯面におけるう蝕活動性をより正確に評価する目的で、【H^+】,【F^-】マイクロトランジスタセンサーを用いて研究を行った。 1.Fセンサー(F-ISFET)の試作と特性 pH-ISFETの製作技術を応用し、F-ISFETの試作を行った。これは、ISFET最外層のイオン感応層を、フッ素イオンと可逆的に反応するフッ化ランタンの薄膜としたものである。in vitro での特性を調べた結果、【10^(-4)】M以上の濃度では直線的な応答を示し、感度も60mV/pFと従来のフッ素電極に匹敵する特性を示したが、低濃度での感度の低下、選択性など改良すべき点が残された。 2.F洗口後の口腔内Fイオン濃度の測定 歯垢の付着していないFセンサーをつけた装置を用いて、F洗口後の口腔内Fイオン濃度の変化をin vivoで測定した。100ppmF標準液で1分間洗口後の口腔内Fイオン濃度は10ppm以上であったが、15〜20分後には1ppm以下となった。このように、口腔内でのFイオン濃度の変化を連続的に記録することができた。この方法は歯垢中Fイオン濃度の測定にも応用可能と思われた。 3.小児と成人における歯垢内酸産生の違い。 歯垢pHの測定は、pH-ISFETを内臓した「歯垢下pH測定装置」により行った。その結果、乳糖及庶糖滴下後のpH変化は、成人間、小児間、成人小児間で差があり、個体差のあることが明らかになった。また、歯垢のagingによっても差が認められた。このことから、歯垢の違いによって酸産生能に違いのあることが示唆された。 2年間の研究で「う蝕誘発性歯垢測定器」の開発までは致らなかったが、歯垢中【H^+】,【F^-】イオン測定法の基礎造りはなされたと考える。
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