研究概要 |
担当者は、ここ数年来ビタミン【D_3】関連化合物のフッ素による化学修飾を行ってきた。本研究はこれまでの結果を踏えて、より有効な活性型ビタミンDの開発を目的として含フッ素アナログの合成とその生理活性の検討を行うものである。【D_3】に比較してその研究が遅れていた【D_2】の代謝に関する研究がここ数年間に発展し、活性型【D_2】は第2世代のD作用物質として注目されている。【D_2】の代謝経路に基づいて含フッ素活性型【D_2】の設計と合成についても検討を行った。本年度は以下に述べる研究実績をあげた。 1.23,23-【F_2】-1,25【(OH)_2】【D_3】の合成と生理活性:昨年度、23,23-【F_2】-25-OH-【D_3】の合成を完成し発表した。さらに、酵素反応により1位水酸基導入を行って活性型へ変換し、その生理活性について検討した。本化合物のD活性は1,25【(OH)_2】【D_3】よりも若干低いものであったが、【D_3】の代謝における23位水酸化は不活性化の一段階であることを明らかにした。 2.28,28,28-【F_3】-25-OH-【D_2】の合成:本化合物は【D_2】の特異的代謝反応の生理的意義の解明を目的として設計された抗代謝アナログである。担当者は本化合物合成に有効な含フッ素合成ブロックの開発を行い、その反応の応用として本化合物を効率よく合成することに成功した。現在その生理活性等生化学的検討を行っている。 本研究の遂行にあたり、科学研究費はすべて試薬等消耗品の購入に充当した。
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