研究概要 |
イオンビーム発生装置の開発に必要な パルス繰返し電源の増設(研究1),増設後の電源を用いての繰返しビーム発生(研究2),クライオ陽極の改造(研究3),陽極冷却用冷凍機システムの開発(研究4),関連する諸物理現象の解明(研究5)などを行った。 (研究1) ビーム発生用電源の増強をはかるために、油入式マルクス発生器の定格出力電圧と蓄積エネルギーを、それぞれ600KVから1,000KVへ、1KJから3.75KJへと上昇した。これに伴い後続のパルス形成部にも改良を加え、一方、イオン源部にかけるパルス磁界用繰返し電源の製作と、マルクス発生器との同期運転を行った。 (研究2) 上記で得られた電源を用いて、予備的に、冷却なしの通常陽極アクリルイオン源からのパルス繰返しビーム発生を行った。発生【H^+】ビームのエネルギー、電流値などは予想通であったが、0.2Hzの連続繰返し動作を行うためには、真空排気容量の増大とパルス磁界用コイルの改良が必要であることがわかった(現在対策中)。 (研究3) 上記のビーム発生をクライオ陽極を用いて実施するため、イオン源陽極部の改良を行った。陽極冷却用冷媒を供給するトランスファー・チューブの全長を既有のものの半分にし、液体ヘリウム溜あるいは冷凍機と陽極部との距離を極力短かくした陽極を製作した。 (研究4) ブロワー,冷凍機・熱交換器システム,陽極部を結ぶ閉管路中にHeガスを流して陽極を冷却する装置を設計,製作し、冷却特性を調べた。現在までに陽極近くでの冷凍能力として、20K-15Wが得られており、【N_2】などをはじめとする多種類の高純度ビーム発生が、今後期待される。 (研究5) 陽極電圧印加後の陽極プラズマ生成に要する時間の陽極物質ならびに温度依存性、吸着物質からのイオンビーム発生、ガスパフによるイオンビーム輸送効率の向上などの関連諸物理を解明した。
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