研究課題/領域番号 |
59880005
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山西 弘一 阪大, 微生物病研究所, 助教授 (10029811)
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研究分担者 |
奥野 良信 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30112064)
堂前 嘉代子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80127266)
山之内 孝尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40029765)
高橋 理明 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50029758)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 腎症候性出血熱 / HI / ELISA / 中和 / HFRSウイルス / 単クローン抗体 / ワクチン |
研究概要 |
昭和59〜61年の3年間で腎症候性出血熱(HFRS)ウイルスの診断法の開発と予防のためのワクチン開発の研究を行ってきた。1)HFRSウイルスの早期検査法の開発:この3年間で我々は中和法(NT)、赤血球凝集阻止反応(HI)、酵素抗体法(ELISA法)の開発を行い、蛍光抗体法(IF)による血清検査法との比較を行った。まずNT法はPAP法による染色の開発を行った。ついでHI法であるが我々は感染細胞の上清よりウイルスを集め、更にアセトンでウイルスのHAを抽出し非常に高い抗原を得ることができた。またHI法ではウイルスの共通抗原を認識できるので、一つの抗原で種々のウイルスの診断を行うことができる。つぎに抗体捕捉ELISA法を開発した。以上の方法をIF法と比較を行った結果抗体の早期診断にはIF、ELISA法が手軽で便利であるが、反面非特異反応が出易い。一方NT法は特異性は高いがかなりの技術と設備が必要となる。これらの診断法を組み合わせることによりさらに正確な結果が迅速に行えるものと思われる。2)ワクチンの開発:まずウイルスの抗原の解析及び動物感染系の確立を行った。我々は世界で採取されているウイルスの株の蛋白の解析を行った。方法は単クローン抗体を用いてウイルス蛋白の分子量や生物学的活性の解析を行った。ウイルス粒子には三種の抗原が存在しその内2つ(G1,G2)は糖蛋白であった。またG2にはHA能が存在したが、現在NTに関する抗原は同定されていない。一方動物感染実験では、HFRSウイルスを新生マウスまたはラットに感染させるとその毒性はウイルスによって異なることが判明した。またウイルス感染動物に病理変化を誘導するので、今後のワクチンの安全試験やその効果の判定試験に用いられるものと思われる。最後に現在不活化ワクチンの開発を行いつつあり、小規模の実験で不活化ワクチンがウイルス感染の予防効果があることが証明された。以上のことより今後先ず不活化ワクチンが開発可能となった。
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