研究概要 |
1.ESR線量計自動試料交換器の試作 ESR線量計の自動化のため、HP製コンピューターを購入したが本年度はさらに、自動試料交換器を設計して、試作発注を行った。小型のロボット(試料管用回転台、腕、エレベーター部より構成)による試料の自動交換とその特性を調べ、改善点を明確にしている。この研究については、Rev.Sci.Instr.に論文公表を準備中である。 2.歯牙による原爆放射線線量評価 抜歯歯牙による人体被曝線量評価の研究を進め、医療放射線を受けた患者の歯牙から、ESRを用いて被曝線量を求めた。この成果は、「第1回ESR年代測定国際シンポジウム」(文部省助成、於宇部市)で発表し、会議録「ESR Dating and Dosimetry」(IONICS,TOKYO,1985)ed,M.IKeya and T.MiKiに掲載されている。 3.エレクトレット線量計 エレクトレットを用いたトリチウム線量計の研究を引続き進めており、エレクトレット素子フイルムの素材を変えて製造している。エレクトレット線量計の原理につき物理的側面を理論的に計算し、Jpn.J.Appl.phys.に論文公表を行った他、放射線物理に論文を投稿中である。 概略の研究成果は上記の3点であるが、ESR線量計測をも含めた第1回の国際シンポジウムに際し、17名の外国人研究者のほとんどが当研究室を訪れ、ESR装置の自動化などを見学していったことを追記する。当研究室のこの分野での実績は、国際的に最高のレベルにあり、標準線源などが完備できれば、引続き中心的存在として指導的立場に立ち得るものと考えている。
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