岩石の破壊過程において、どのような割れ目が生成されていくかを知るために、岩石三軸試験のいろいろな段階で試験を中断し、偏光顕微鏡や電子顕微鏡で割れ目の観察記載を行った。用いた供試体は主として天草白亜系の粗粒砂岩であるが、生成した割れ目には大きく見て次の3通りがあった。 【◯!1】Intergranular crack(粒子同士の接触部に形成される伸張破壊面) 【◯!2】Grain boundary crack(粒子と基質の境界に沿う剪断破壊面) 【◯!3】Transgranular crack(粒子と基質の両方を切るもの) 歪が小さい段階では【◯!1】、【◯!2】の割れ目が圧倒的に多く、その三次元的方位は【σ_2】と平行である。より変形が進行した場合には【◯!3】も見られる。 しかし、これはあくまでも静的解析であって、数多くの供試体を用いた実験結果を総合したものにすぎない。同一供試体について歪の進行とともに、どのような種類の割れ目が生成されていくのか、厳密には不明である。そこで、高圧容器の中で進行する破壊現象を光ファイバースコープを用いて観察する装置の開発を行った。最初、容器下部のリード線取り出し口からファイバーを挿入するつもりだったが、撮像部の耐圧性に問題があり、容器側部に耐圧ガラス窓を設置して、固体のロッドレンズで撮影する方式に変更した。しかし側部だと、万一窓が破壊した場合には人命にかかわる大事故につながる恐れがある。そのため、模型実験を繰り返すなど慎重な設計を行って、ようやく年度末問際に完成した。したがって、現在低圧状態でテスト中であり予察的な段階であるが、今のところ先の静的解析での見通しを裏付けるデータが集っている。
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