1.ヒト及びマウスにおける自己リンパ球混合培養反応における各種リンホカインの産生を検索したところ、IL-3の特異的産生が明らかになった。IL-1、IL-2の誘導はまったく起らない。このようにして産生されたIL-3は、固形腫瘍に対して傷害作用を持つNC細胞の誘導をも起こす。 2.in vivoの腫瘍排除機構においてLyt【1^+】【2^-】の細胞が中心的役割を果すが、抗腫瘍活性を示すためにはさらに、マクロファージとLyt【1^+】【2^-】細胞の産生するNAFが必要であることを明らかにした。diffusion chamberを使ったin vivoの実験により、腫瘍と免疫脾細胞の特異的免疫反応、MAFの産生そしてMAFによるマクロファージの活性化により傷害性が獲得されるまでの一連の反応系を明らかにした。 3.樹状細胞(OC)が抗原特異的T細胞との培養により細胞集塊を形成するので2日間の腫瘍細胞をも加えたin vitro培養を行い、活性化T細胞を採取できた。この細胞は、in vivoで抗腫瘍活性を示す。 4.LAK細胞に反応し、その活性を阻害するモノクローナルKBAの作製に成功した。この抗体は180と95Kのsubunitから成るlymphokine-activatedcell-associated antigen(LAA)を認識している。KBAを添加することにより、種々のT細胞応答が抑制を受けることから、LAAはT細胞活性化においても重要であることが判明した。 5.ヒトr-IL-2が実験癌に対して治療効果を示すことを明らかにした。時に、除放性基剤pluronicgelの使用がその効果を増強する。r-IL-2とcyclo-phosphamideによる化学療法の併用も有効である。 6.HTLV-1腫瘍化T細胞のいくつかのcell lineがMDFを産生することを明らかにした。 7.細胞障害性T細胞が抗原の認識に必須とされているMHCクラスI抗原を、pH3の緩衝液による短時間処理により、特異的に除去する方法を開発した。
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