1前立腺癌のアンドロゲン受容体、ホルモン依存性と内分泌療法 小數例の癌組織を用いて、アンドロゲン受容体の存在が確認された。生検材料を用いて多數例の検討をおこなうため、組織化学的にR1881結合蛋白の有無をみた結果、数60%以上に本蛋白の陽性像がみられた。本蛋白の有無と、内分泌療法の反応性とは相関することが示された。これより進行期の前立腺癌の60%以上は、ホルモン依存性の発育をしていることがわかった。臨床的觀察で、内分泌療法開始後1年で80%以上、2年で60%制癌されているが、これはR1881結合蛋白の結果をうらづけるものである。 2前立腺癌の病理組織学的検索 悪性度分類について、いくつもの試案が提唱されていることより、現在おこなわれている6種類の方法を比較した結果、日本の取扱い規約のものが妥当性あることがわかった。日米の比較が実施され 未だ小數例であるがアメリカのほうが低分化癌が多い傾向をうかがわせた。多數例の本邦集計では、高分化癌や中等度分化癌はあまり差がないが、低分化癌は予後の悪いことがわかった。 3疫学的検索 日本の前立腺癌は発生率の微増と、死亡率の漸増が示された。両者の比は、約2:1である。危険因子として、βカロチンの摂取量の低下が推測された。 4実験的ホルモン依存癌 アンドロゲンのみに依存しているとみなされた癌においても、エストロゲン、およびその他の因子の関与が考えられた。
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