白血病細胞に対する新しい分化誘導物質を開発すると共に、in vitroの培養系において白血病細胞の分化を誘導する物質がin viroにおいても白血病細胞の分化を誘導し、白血病に対して治療的効果を有しているかどうかを実験小動物ならびにヒトの白血病を用いて明らかにすることを目的として研究を行った。 1.新しい分化誘導物質の開発 ビタミン【D_3】の誘導体である【D_3】-epidioxides誘導体が、骨髄性白血病細胞の分化を直接促進させるばかりでなく、脾臓中のリンパ球に作用して分化誘導因子を産生させることを明らかにした。 2.分化誘導物質によるマウスおよびラット白血病の治療 Rauscher白血病ウイルスによってラットに誘発された骨髄単球性白血病細胞(c-WRT-7)を用いた実験では、WRT-7細胞をラットに静注後LPSを投与すると血中にマクロファージ、顆粒球の著明な増加を見た後、約60%の動物が治癒した。さらにLPSにダウノマイシンを併用するとほぼ100%の動物が治癒し、ラットの生存率を有意に延長させることを示した。 3.分化誘導物質のヒト白血病に対する治療効果 通常量の1/5以下のシトシン・アラビノシドの投与による急性骨髄性白血病の治療では、RAEBやMDSに有効であることが確認された。また、ヒト尿由曜のCSF(8×【10^8】単位/mg)をくすぶり型白血病の2例に、微量のシトシン・アラビノシドの投与にひきつづいて、或いはシトシン・アラビノシドの投与と平行して投与し、1例に完全寛解を、1例に明らかな血液像の改善を認めた。
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