研究概要 |
癌遺伝子および細胞増殖分化促進因子の機能と細胞形質発現変化との関連を明らかにするために以下の研究を行った。 (1)癌遺伝子と細胞増殖制御 ホルモン誘導プロモーターをアデノ12型E1遺伝子の13S, 12SCDNAにつないで細胞に導入し、 13S12S蛋白は単独でもDNA合成誘導能があることを示した(小田)。ヒトG-CSF遺伝子のクローン化に成功し、塩基配列と精製蛋白のアミノ酸配列からG-CSFは2種存在することを示した(上代)。ヒトdTMP合成酵素遺伝子のGo→S期における活性増大は転写効率の増大によるものではなくmRNAの安定性の上昇によることを示した(鮎沢)。 (2)遺伝子発現制御 BKウイルスのエンハンサー領域の変異株を用い ラット細胞での転写活性の減少は逆に細胞変換能を増大させることを示した(吉池)。フィブロイン遺伝子の上流域に働く転写因子として、 絹糸腺特有のもの、カイコに特有の因子の2種を同定した(鈴木)。アデノE4遺伝子の転写に働く細胞因子をゲルシフト法を用いて示した(半田)。転写制御領域を欠くヒト黒色腫ras遺伝子は近傍にエンハンサーを挿入するとイントロン内のプロモーター類似配列から転写がおこることを示した(関谷)。トリ左卵巣に特異的なCDNAクローンを単離し、塩基配列から膜に組み込まれると推定される疎水性アミノ酸配列を見出した(水野)。 (3)遺伝子組み換えと増幅。プロモーターを欠くpSV2gptの細胞内での発現は【Ap^r】遺伝子内の再配列によりプロモーター活性が生じるためであることを示した(池田)。SR-RSVにpackaging変異を導入し、 レトロウイルスベクターをパッケージするためのヘルパー哺乳動物細胞を樹立中である(河井)。マウスrDNA断片をプローブとして変性ゲル電気泳動法により細胞の変異率を測定する方法を検討した(木南)。
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