研究概要 |
本研究の特色は癌細胞表面にある多種の抗原エピトープに夫々特異結合する多種類の単クローン抗体(MoAb)を作成し、此れをcarrierとする【^(10)B】・MoAbを合成・投与し熱中性子捕捉療法を行う点にある。単独でも有効であるが、今迄開発して来た代謝活性利用の方法(例えばp-borono-phenylalanine(BPA)をcarrierとする【^(10)B_1】-BPA・HClによる黒色腫治療)を併用すれば相加・相乗効果が期待できる。本年度業績も両者に跨っている。 【◯!1】(1)ヒト型抗体を安定産生するヒト・マウスヘテロハイブリドーマを肺癌をモデル実験として作成(2)ヒト腫瘍と反応するマウス単クローン抗体産生ハイブリドーマから単離したマウス【V】遺伝子にヒトFc遺伝子を接続、得られた接合遺伝子をマウス骨髄腫に導入、分泌型キメラ抗体を産生させた。結合活性精査中(3)ラットより得た抗黒色腫抗体35種の抗原認識能解析【◯!2】(1)【^(10)B】含量の高い化合物M・【^(10)B_(12)】【H_(11)】【NH_3】 の【H_3】を一旦【Na_3】に変換後、【Cl_2】C=Sで処理してM・【^(10)B_(12)】【H_(11)】NX=C=Sを得た。期待に反しアミノ基、水酸基と反応せず、抗体への【^(10)B】導入剤として不適(2)【M_2】【^(10)B_(12)】【H_(11)】SHのMBS処理で【^(10)B】導入剤を合成する試みも二重結合へのSH付加が起らず不成功(3)M・【^(10)B_(12)】【H_(11)】【NH_2】【CH_2】COOH,M・【^(10)B_(12)】【H_(11)】【NH_2】CO【CH_2】【CH_2】COOHの合成を企画中【◯!3】【^(10)B_1】-BPA・HClの摘出心臓,血管,腸管に対する作用を収縮性を指標とし測定。作用は類似構造の化合物phenylalanineとL-dopaの中間にあり、濃度【10^(-4)】M以下では微腰で検出不能。既報のマウス急性毒性試験と共に本薬物の安全性を示唆。ラット試験は次年度へ繰り越し【◯!4】【^(10)B_1】-BPA・HCl15.8g(液量1.7l)を体重79Kgの黒色腫患豚に4.6時間連続して静脈内注入し、投与開始後1.75〜5.25時間の間中性子照射。投与終亨1時間後採取の腫瘍と血液中のB濃度は夫々6〜11と2.4μg/g湿重量と好成績、観察続行中の治癒状況も良好である。然し従来の病巣周辺皮下・筋肉内投与例と異り完溶透明薬液を作る必要上酸性大となり、ヒト患者への適用性は更に検討中。
|